建築構造を学び始めると必ず出てくるのが断面二次モーメントです。
「名前が難しい」
「何を表しているのかわからない」
「計算はできるけど意味がわからない」
という方も多いでしょう。
この記事では、断面二次モーメントの意味から計算方法、建築設計での使われ方までわかりやすく解説します。
断面二次モーメントとは?
断面二次モーメントとは、
「部材が曲げに対してどれだけ抵抗できるかを表す指標」
です。
一般的に記号 I で表されます。
例えば同じ材料・同じ断面積でも、
- 縦長の断面
- 横長の断面
では曲がりにくさが異なります。
その違いを数値化したものが断面二次モーメントです。
身近な例で考えてみよう
定規を使って試してみましょう。
定規を平らな向きで持つと簡単に曲がります。
一方、90°回転させて立てると曲がりにくくなります。
断面積は同じなのに強さが変わる理由は、
断面二次モーメントが大きくなるため
です。
つまり、
材料を増やさなくても配置を工夫すれば強くできる
ということです。
ではなぜ「二次」モーメントなの?
断面二次モーメントは次式で定義されます。
ここで、
断面二次モーメント
:中立軸からの距離
です。
ポイントは 距離が2乗されていること。
中立軸から遠い部分ほど大きく評価されます。
つまり、
材料は中心付近より外側に配置した方が効率的に強くなる
ということです。
矩形断面の断面二次モーメント
幅
高さ
の矩形断面の場合、
となります。
公式
高さが3乗で効くことに注目してください。
例えば、
- 幅:100mm
- 高さ:300mm
の場合=100×300^3/12=225,000,000m4
これを
- 幅:300mm
- 高さ:100mm
に変えると
I=300×100^3/12=25,000,000m4
になり1ケタも違う結果になります。
断面積は同じでも断面二次モーメントは大きく変わります。
高さが2倍になると?
高さを2倍にすると
となり
断面二次モーメントは8倍
になります。
そのため梁設計では
幅を大きくするよりも
梁せい(高さ)を大きくする方が効果的です。
H形鋼が効率的な理由
鉄骨造でよく使われるH形鋼は、
材料を断面の上下フランジに集中させています。
これは中立軸から遠い場所に鋼材を配置し、
断面二次モーメントを大きくするためです。
少ない材料で大きな曲げ耐力を得られるため、非常に効率的な断面となっています。
断面二次モーメントとたわみの関係
梁のたわみ計算では、
という関係があります。
ここで、
:ヤング係数
:断面二次モーメント
です。
つまり
- Eが大きい → 硬い材料
- Iが大きい → 強い断面
となります。
断面二次モーメントが大きいほど梁はたわみにくくなります。
建築実務での使われ方
構造設計では以下のような場面で使用します。
梁のたわみ検討
梁が大きくたわまないか確認する。
柱の座屈検討
柱の曲がりやすさを評価する。
鉄骨断面の選定
H形鋼や角形鋼管の性能比較に用いる。
木造梁の設計
梁せいを決定する際の重要な指標となる。
断面係数との違い
よく混同されるのが断面係数(Z)です。
断面二次モーメント
- たわみに関係
- 記号:I
断面係数
- 応力度に関係
- 記号:Z
関係式は
です。
断面二次モーメントが大きいほど、断面係数も大きくなる傾向があります。
まとめ
断面二次モーメントとは、
「断面の曲がりにくさを表す指標」
です。
覚えておきたいポイントは次の4つです。
✅ 曲げに対する強さを表す
✅ 記号は I
✅ 中立軸から遠い材料ほど効果が大きい
✅ 矩形断面では高さが3乗で効く
建築構造では梁・柱・鉄骨断面の検討など、あらゆる場面で登場します。

