靭性(じんせい)とは『どれだけ粘り強く変形してエネルギーを吸収できるか』を表す性質です。
耐震設計ではこの【粘り】が非常に重要な考え方になりますので一緒に学んでいきましょう!
靭性とは?
靭性は一言でいうと『破壊に至るまでのエネルギー吸収能力』です。
構造力学的には材料や部材が外力を受けたときに
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すぐにパキッと壊れる(脆い、靭性が低い)
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変形しながら粘って最終的にに壊れる(粘りがある、靭性が高い)
の違いとして現れます。
イメージは「プラスチック(脆い) vs 針金(粘る)」が近いですね。
プラスチックは強度がそこそこあっても、変形できずに破断します。
一方、針金は曲がってもすぐには切れず粘り強いと言えます。
応力―ひずみ曲線で見る靭性
靭性は、応力―ひずみ曲線(σ-ε曲線)で説明すると分かりやすいです。

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曲線の下の面積(破断まで)が大きいほど、靭性が高い
→ 面積=吸収エネルギー(単位体積あたりの仕事)とみなせます
ざっくり言うと、
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強度が高い(応力が高い)だけでもダメ
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伸びが大きい(ひずみが大きい)だけでも足りない
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「強度 × 変形能力」の両方が効いて面積が大きい=靭性が高い
という感覚です。
「靭性」と「延性」「強度」の違い
学科でも混同しやすいので、言い換えて整理します。
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強度:どれだけ大きい応力まで耐えるか(最大耐力の大きさ)
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延性:どれだけ大きく変形できるか(破断までのひずみの大きさ)
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靭性:壊れるまでにどれだけエネルギーを吸収できるか(面積=総合力)
よくあるひっかけは、「延性が大きい=靭性が高い」は間違いであるということ。
延性があっても強度が極端に低ければ、吸収エネルギー(靭性)は低いくなりがちです。
とまぁややこしくなってきましたが
【靭性は粘り強さの総合評価】と理解して頂けたらOKです!
構造設計で靭性が重要な理由
地震時の建物は、瞬間的に大きなエネルギーを受けます。
このエネルギーをどのように処理するかが
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塑性変形を許容してエネルギーを吸収する
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ただし、崩壊機構に入っても「急に壊れない」ことが必要
という考え方です。
なので耐震設計では、単に部材を強くするだけでなく
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どこで降伏させるか(塑性ヒンジの想定)
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脆性的破壊(せん断破壊・付着割裂・座屈など)を先に起こさないか
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変形性能を確保できているか
といった【粘り】が重要になってきます。
ここからはさらに重要なお話です。
ここまで読んで頂いたら靭性のある建物の方が良いと思いがちですが
実はそうではありません。
靭性のある材料とは?
鋼材(鉄骨)
一般に鋼は降伏後も塑性変形しやすく、靭性を確保しやすい材料です。
ただし注意点もあって、
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低温で脆化(靭性低下)しやすい
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溶接部や切欠きで破断が起きやすい
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局部座屈が先に来ると、靭性を発揮しにくい
など、「材料が粘っても部材として粘れない」ケースがあります。
鉄筋コンクリート(RC)
RCは
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せん断破壊を避ける(せん断は脆性化しやすい)
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帯筋・あばら筋で拘束して圧縮側の崩れを遅らせる
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付着・定着を確保して鉄筋が働けるようにする
以上の内容が非常に重要です。
まとめ
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靭性は破壊までに吸収できるエネルギーの大きさ(粘り強さの総合評価)
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応力―ひずみ曲線では破断までの曲線下の面積が大きいほど靭性が高い
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強度・延性とは別物:靭性=「強度 × 変形能力」的なイメージ
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耐震では、地震入力エネルギーを塑性変形で吸収するため靭性が重要
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せん断破壊・付着不良・座屈などの脆性的破壊を先に起こさない
言葉で書くと難しく感じますがイメージすると分かりやすくなりますよ


